2020年07月23日

toujyouka016.jpg 選択的夫婦別姓と遺産は無関係

4月15日の「アベマプライム」では、
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)の識者が、
ひさしぶりにメディア出演しました。

「夫婦別姓反対派のメディア出演」
「現状のまま導入すれば膨大な労力が?「選択的夫婦別姓」を阻む日本の戸籍制度の課題とは」

反対派のひとりは八木秀次氏です。
もうひとりは元経産省官僚で
制度アナリストの宇佐美典也氏です。
今回は宇佐美典也氏の主張を見てみたいと思います。

 


また、元経産官僚の宇佐美典也氏は、
八木氏に近い考え方だとしながらも、別の制度の創設を提案する。

「伝統を守りたいというわけではないが、
選択的夫婦別姓を今の婚姻制度と一緒にしてしまうのは、
現行のシステムと相性が悪いと思う。
結婚とは法律上、同じ姓の一つの
家族として戸籍に入るということだ。
そして、家族は一世代のものではなく、
受け継がれていくものだ。

その前提で全ての制度と紐づいているので、
ひっくり返してしまうと家計や遺産など、
制度改正が大きくなりすぎてしまう。
そうであれば、戸籍制度に無理に紐づけるのではなく、
新しい事実婚のような制度を作り、
同姓の家族と同じような扱いを受けられるようにすればいい」。

選択的夫婦別姓は現行のシステムと相性が
悪いと思うなどと、宇佐美典也氏は言っています。
現行のシステムとは具体的になんでしょうか?
あとで言及する戸籍制度のことでしょうか?


選択的夫婦別姓を導入した場合の
戸籍のフォーマットはすでに作られています。
よっていつ選択的夫婦別姓が実現しても、
戸籍は対応できるということです。

戸籍制度は選択的夫婦別姓に
問題なく対応できるということですから、
選択的夫婦別姓が戸籍制度と
相性が悪いことはないでしょう。

「身分登録を夫婦別姓対応にする負担?」
「1戸籍にふたつでもファミリーネーム」



「その前提で全ての制度と紐づいているので
家計や遺産など制度改正が大きくなりすぎる」とも、
宇佐美典也氏は言っています。

宇佐美典也氏は家計や相続が戸籍や苗字と
連動していると思っているのでしょう。
選択的夫婦別姓に反対する人たちの中では、
わりとよくある認識だと思います。

「選択的夫婦別姓の関連法規が膨大?」


実際には相続は、戸籍や苗字とは関係ないです。
家計も介護も親権も子どもの扶養も、
戸籍や苗字とはなんの関係もないです。

たとえば法的な親子関係にある子は
法定相続人となり、遺産の半分を
きょうだいで均等に得られます。
この「法的な親子関係」は苗字とは関係なく、
結婚改姓などで苗字が異なるようになっても、
解消されることはないです。

選択的夫婦別姓を導入したところで、
相続や家計その他の各種の制度は、
なんら影響も受けないことになります。


選択的夫婦別姓は婚姻に関する
苗字の扱いにだけ関係する、
苗字は家計や相続、介護の権利や義務とは
いっさい関係ないということを、
宇佐美典也氏はご存知ないらしいです。

アベマプライムでは宇佐美典也氏は
「制度アナリスト」と紹介されています。
現行制度についてこの程度の
基礎的な認識もない人が「アナリスト」
というのは、なにごとかと思います。

posted by たんぽぽ at 22:45 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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