2020年12月07日

toujyouka016.jpg 婚前氏続称制度・稲田朋美の私案

11月26日の朝日新聞(このブログの
11月30日エントリで紹介した)に、
稲田朋美による選択的夫婦別姓に関する
私案が紹介されています。

「選択的夫婦別姓、賛否両派の動き活発 自民党内で勉強会」
(はてなブックマーク)

 
ウェブで公開されている版では、
私案について記述された部分まで読めないです。
稲田朋美のツイッターで記事の全文が
紹介されていて、ここで確認できます。



稲田朋美の私案は「婚前氏続称制度」と
呼ばれているものです。
朝日の記事では「第3の道」と言われています。

「第3の道」を探る動きも出てきた。
稲田朋美元防衛相は、「婚前氏続称制度」という
新たな制度を提起する。
ファミリーネームは婚姻の際に選んだ氏だが、
旧姓を婚姻届を出した役所に
届け出ることによって社会生活上使うことが
できる制度を作るというものだ。

ただ、この案については
「民法上の氏が同氏強制のままであれば、
96%もの女性が改姓する不平等は変わらない」
(立憲民主党・打越さく良参院議員)
という批判がが出ている。

この制度のもとでは婚姻をする際、
「家族の氏」を届け出る必要がありますが、
これに加えて結婚前の旧姓である
「婚前氏」を届け出ることもできます。

そして「婚前氏」を公的書類での登録など、
社会生活上使えるようにするというものです。

稲田朋美の「婚前氏続称制度」は、
反対派(非共存派)議員対策のための、
譲歩案、妥協案として考えたものと思います。


この私案がどのくらいまで結婚改姓の問題を
解決するかですが、運用しだいで
大きく変わるだろうと思います。

「家族の氏」はほとんど形骸化したもので、
社会生活で使う必要がほぼなく、
「婚前氏」があらゆる場面で使えるなら、
選択的夫婦別姓に近いと言えるでしょう。


わたしの予想では「婚前氏」を使える場面は、
あまり広くならないのではないか、
「家族の氏」を使わされる場面が
かなり多くなるのではないかと思います。

2019年に住民票、マイナンバーに
旧姓併記ができるようになりました。
これによって旧姓で登録できる公的書類が
増えたというほどではなく、旧姓併記の導入前から
ほとんど増えなかったのでした。

「効力はたいしてない住民票の旧姓併記」
「住民票の旧姓併記・その狭い有効範囲」
「住民票の旧姓併記・総務省の見解」

おおかたの企業や役所では住民票に
併記されていても旧姓の登録を認めない、
戸籍の名字しか受け付けない、
という立場を続けていました。


こうした状況をかんがみると、
稲田朋美の「婚前氏続称制度」が
導入されたとしても、「婚前氏」の扱いは
住民票の「旧姓併記」の旧姓と
あまり変わらなさそうに思います。

おおかたの企業や役所は「婚前氏」を認めず、
「家族の氏」に固執するのではないか
という気が、わたしはしています。

「旧姓併記」よりは「婚前氏」のほうが
いくぶんは認知されるかもしれないです。
それでも名字の問題を解決するには、
まだまだふじゅうぶんなものに
とどまるのではないかと思います。

posted by たんぽぽ at 23:19 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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