2020年12月10日

toujyouka016.jpg 推進派の譲歩案を反対派は受け入れるか

12月7日エントリで、自民党の選択的夫婦別姓の
推進派議員が反対派(非共存派)のための
譲歩案を考えていることをお話しました。

「選択的夫婦別姓・旧姓使用拡大の同時進行」
「婚前氏続称制度・稲田朋美の私案」

今回はこの譲歩案を反対派議員たちが
実際に受け入れるかを考えたいと思います。

 
選択的夫婦別姓法案に関して、
推進派から譲歩案が出た場合、
「その譲歩案を反対派は受け入れるか」を
最初に考えることが、もっとも「現実的」な
対応だと、わたしは思います。

ついで考えることは「推進派はおかしな
方向に向かわないか」を心配することだと、
わたしは考えています。

その譲歩案が実現した場合、
「具体的な運用はどのようになるか」や
「実際に制度を利用する立場の人は
どうすればよいか」を考えることは、
さしあたっては「あまり現実的でない」と、
わたしは思います。


はじめに選択的夫婦別姓と旧姓併記の拡大の
同時進行ですが、こちらは反対派(非共存派)が
受け入れる可能性はないと思います。
選択的夫婦別姓はもとの案通り導入されるからです。

彼ら反対派(非共存派)にとって、
旧姓併記の拡大を主張するのは、
選択的夫婦別姓にとって変わるためです。
選択的夫婦別姓が実現したら、
同時に旧姓併記の拡大が実現したところで、
意味がないということです。


稲田朋美の私案の「婚前氏続称制度」ですが、
こちらも反対派(非共存派)が受け入れる
可能性はあまり高くなさそうだと、
わたしは予想しています。

運用しだいでは、選択的夫婦別姓を
あまり変わらなくなると考えれるからです。
稲田案でも実現させたら、今後のさらなる
民法改正で、なしくずし的に選択的夫婦別姓が
実現するとも、反対派(非共存派)議員たちは
考えるかもしれないです。

戸籍に直接旧姓を併記することも、
反対派(非共存派)議員たちにとっては、
気に入らないかもしれないです。

戸籍は反対派が信奉する家族イデオロギー信仰
具体的に表現するものなので、
戸籍に手をつけることに対しては
彼らは異様に潔癖になるからです。


2002-03年に自民党で選択的夫婦別姓の
議論になったとき、反対派議員のひとりが
家庭裁判所の認可があれば、
選択的夫婦別姓に賛成すると言っていました。

「家裁認可制法案(1) 例外的に夫婦の別姓を実現させる会」

それを汲み取って推進派議員は
家裁認可案でよいと主張しました。
ところが反対派議員たちは、それまで
「賛成する」と言っていた議員もふくめて、
だれも家裁認可案に賛成しませんでした。

このような経緯が過去にあるので、
今回も相当なまでに推進派から譲歩した案が
示されても、反対派(非共存派)は
受け入れないと思われます。


反対派(非共存派)が「対案」として
主張している旧姓併記の拡大も、
どこまで本気で取り組む気があるのか、
はなはだ怪しいというものです。

反対派(非共存派)は、これまで長いあいだ、
旧姓併記の拡大さえ推進しませんでした。
2019年になってようやく住民票に
旧姓併記が認められるようになった程度です。

「住民票・マイナンバーの旧姓併記」

日本会議という選択的夫婦別姓の
反対派(非共存派)の団体も、
旧姓使用を主張しています。
ところが旧姓併記の拡大を主張する
青野慶久氏らの夫婦別姓訴訟を、
日本会議は支持しなかったのでした。

「夫婦別姓訴訟と日本会議の対応」


反対派(非共存派)が受け入れられること、
目指していることは、「とにかく選択的夫婦別姓は
つぶすこと」だと思ってよいでしょう。

彼ら選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)は、
推進派への譲歩は微塵にも考えていないし
したくもないのだろうと思います。

posted by たんぽぽ at 22:03 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - 推進派の譲歩案を反対派は受け入れるか web拍手
この記事へのコメント
そもそも論として、選択的夫婦別姓の導入は非共存派の選択肢すら増やしてしまうわけですから譲歩すら必要ないはずなんですけどね・・
Posted by あいうえお at 2024年01月04日 16:09
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)は、
選択肢が増えることがお気に召さないです。
http://taraxacum.seesaa.net/article/478163888.html


どのような事情であれ、反対派(非共存派)に
譲歩するいわれなんてないですが。

「選択的」夫婦別姓で、夫婦同姓の
選択肢があるというだけで、
「譲歩」はじゅうぶんというものです。
Posted by たんぽぽ at 2024年01月07日 11:44
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック