2021年01月07日

toujyouka016.jpg 伝統だから守るべきとはかぎらない

以前、9月3日エントリでご紹介した
選択的夫婦別姓についての解説動画では、
6分32秒あたりから、「夫婦同姓の強制は
日本の伝統だ」という、反対派(非共存派)の
典型的な主張について反論しています。

「選択的夫婦別姓とは・入門的な解説動画」

 


動画では「伝統ということは続けてよい
理由にならない」という趣旨の反論をしています。

そこに不利益を被っている人が現実に
存在するのに伝統だから変えないというのは
思考停止のわがままだと思います。

そういう過去があったとしても、何でもかんでも
伝統として存続するかはまた別の話です。
個別の事柄においてそれぞれ検討していく
必要があって伝統は何の理由にもなりません

伝統だからといってかならずしも
残すべきよいこととはかぎらない、というのは、
少し考えれば当たり前と言えます。


「悪い伝統」もたくさんあります。
社会の惰性や既得権益者の利益と
結びついて続いているだけだったり、
中には差別的なものもあります。
そうした「悪い伝統」は、積極的かつ早急に
なくしていく必要があることです。

それが「よい伝統」か「悪い伝統」かは、
個別に判断していくよりほかにないです。
そうした個別の判断をおこたって
「伝統だから無条件に残すべき」と
考えるのは、「思考停止のわがまま」と
言われても無理もないでしょう。


選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)が
「夫婦同姓の強制は日本の伝統」と
言い出した場合、「それは伝統でない」という
趣旨の反論をすることが相場です。

この動画では、あえてこのような
「ありがちな反論」を、わきに置いている
ということは、特徴的だと思います。


「なにがしは伝統だ」という主張が
出てきたときの「伝統を懐疑する3条件」について、
前にお話したことがあります。

「伝統回帰論への懐疑」

1. それは本当に伝統なのか?わりと新しめではないか? 
2. その伝統なるものの利益は万人が享受できたのか?
誰かを犠牲にしていなかったか?
もしかして享受できてたのは一部の階級だけじゃないか?
3. あとほんとに帰れるのか

「夫婦同姓は日本の伝統」という主張に対しては、
1.の視点で反論することが多いです。
動画では2.の視点で反論している、
と言うことができるでしょう。

選択的夫婦別姓の議論においても、
1.ばかりでなく、2.の観点からの反論も
もっとたくさんあったほうがよいと思います。

posted by たんぽぽ at 22:42 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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