想田和弘氏と柏木規与子氏夫妻による、
夫婦別姓・確認訴訟(外国で法律婚して
夫婦別姓を選択した場合、日本で法律婚として
認められないことについて)の判決が
どうなるかは気になるところです。
「海外で別姓婚、日本でも成立するか 認める法あるが、戸籍は同姓条件」
「海外で別姓婚、日本でも成立するか」(全文)
2018年7月のわたしのエントリでは、
例によって悲観的な予測をしています。
いまでもあまり楽観はしていないです。
「もうひとつの夫婦別姓訴訟」
「外国での法律婚も日本国内で婚姻状態に
あることを認める。ただし日本で婚姻届けを出すには、
夫婦別姓のままでは認めない」なんて
中途半端な判決になるかもしれないです。
この場合、夫婦別姓のために外国で婚姻届けを
出すかたが増える可能性があります。
(原告団にとっては不本意ですが。)
上述の「リーガル・ウェディング」が便利だと、
いまのうちから言っておきます。
原告が敗訴するという最悪のケースも
想定しておいたほうがいいと思います。
この場合、現在の法的扱いでも外国の法律婚は、
日本国内で婚姻状態にあるとみなされるので、
これとの折り合いはどうなるかと思いますが。
わたしの見解を述べておくと、
ほかの3件の夫婦別姓訴訟とくらべると、
原告の主張に反論するのは、
むずかしそうではあります。
昨年暮れの第5次男女共同参画の
基本計画の議論で、選択的夫婦別姓に対する
世論の理解がいっそう浸透したと思います。
「第5次男女共同参画・選択的夫婦別姓」
「大幅に後退した選択的夫婦別姓」
さらに今年の夏には東京オリンピックがあります。
オリンピックは憲章はジェンダー平等を
うたっているので、選択的夫婦別姓を
認めないことは憲章に反することにもなります。
選択的夫婦別姓を認めない現行民法を
合憲とすることが、これまでの3件の
夫婦別姓訴訟のときよりは、
やりにくくなっているとも思います。
同性結婚を認めない現行民法に対して
かろうじてながら、違憲判決がくだりました。
これもオリンピックを意識したものも
あるのではないかと、わたしは思っています。
「同性結婚を認めない現行民法に違憲判決」
「同性婚不受理に違憲判決・五輪の影響?」
同性結婚を認めないことに違憲判決が
出たすぐあとに、夫婦別姓を認めないことで
違憲判決が出ないというのは、
不自然な状況にもなったと思います。
それに加えて、森喜朗と丸川珠代が
「よけいなこと」をしてくれたので、
国内世論、国際世論の両方が、
オリンピックと選択的夫婦別姓を関連づけて
考える素地ができたといえます。
この夫婦別姓の確認訴訟は、もともと理屈で
原告に反証しにくいことにくわえて、
選択的夫婦別姓を認めないことに
違憲判決を出さないことがやりにくい
社会状況にもなったということです。