夫婦別姓・確認訴訟の判決が
4月21日に東京地裁から出されました。
外国で婚姻届けを出して法律婚をしている場合、
日本でも「婚姻は有効に成立」と認定です。
「選択的夫婦別姓議論に「一石」 米国で別姓婚した想田・柏木夫妻、国内での婚姻も認められる判決」
「米国での別姓婚「日本でも有効」戸籍記載の訴えは退ける」
「夫婦別姓の戸籍記載認めず 海外結婚は「有効」―東京地裁」
「海外で別姓婚の日本人夫婦 「法的な婚姻関係を認めて」 判決迫る 相続、税制で不利益」
「海外での別姓婚は国内でも「有効」…地裁判決、別姓での戸籍記載は認めず」
アメリカで別姓のまま法律婚した日本人夫婦が、
日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、
立法の不備があるなどとして、国を訴えていた裁判の
判決が4月21日、東京地裁であった(市原義孝裁判長)。
東京地裁は夫婦の訴えを退けたものの、
判決の中で、国内でも2人が別姓のまま
婚姻関係にあることを認めた。
おめでとうございます!
夫婦別姓でも婚姻が認められたということであり、
想田和弘氏も実質的な勝訴としています。
速報:僕と柏木規与子が原告の夫婦別姓確認訴訟、先ほど東京地裁で判決出ました!別姓でも僕らの婚姻は成立しているとの判断。実質的な勝訴です!4時から記者会見。
— 想田和弘 「精神0」公開中 (@KazuhiroSoda) April 21, 2021
いくつもある夫婦別姓訴訟の中で、
はじめて原告の主張が裁判所で
認められたことになります。
その意味でも「歴史的」な判決になるでしょう。
何度かお話していますが、
外国で婚姻届けを出した外国人夫婦は、
その国で夫婦別姓を選択していても、
日本国内で婚姻状態にあるとが認められます。
外国で婚姻届けを出したのが
日本人と外国人の結婚で夫婦別姓を
選択している場合でも、同じように
日本国内で婚姻が認められます。
そうなると日本人どうしの結婚で
外国で婚姻届けを出して夫婦別姓となった場合だけ、
日本国内で婚姻状態にあると認められないのは
おかしいというのが、訴えの趣旨です。
この訴訟は、このブログでも
3月26日エントリで少しお話しました。
「夫婦別姓確認訴訟・4月にようやく判決」
わたしは例によってよい結果が出ることを
期待していなかったのでした。
それゆえ今回の判決は意外でもあります。
国は原告の2人が同姓ではないため
国内では婚姻が成立していないと主張したが、
市原裁判長は戸籍法などにより
海外での別姓婚が想定されていると指摘。
「婚姻自体は成立していると解するほかない」と認めた。
戸籍への記載は、残念ながら認められなかったです。
また賠償請求も棄却になりました。
一方、戸籍に別姓のまま婚姻関係を記載することが
自治体に認められなかった場合でも
「家裁への不服申し立てを通じ、
戸籍謄本の交付請求もできるようになり得る」と判断。
国による証明がなくても「権利や法的地位に
危険や不安が現存すると言うのは困難」として、
原告の訴えを却下した。
その上で、海外で別姓婚をした日本人夫婦の
婚姻関係を証明する規定が戸籍法に
設けられていなくても違憲が明白とは
評価できないとして、賠償請求も棄却した。
これらを見ると、必要最低限のことだけ
判決で認めたという感じです。
なぜこのような判決になったかは、
3月26日エントリでお話したようなこと
ではないかと、わたしは想像します。
「夫婦別姓確認訴訟・原告に反論しにくい?」
ようは原告の主張に反論しにくいということです。
本当は裁判所は、日本国内でも婚姻状態に
あるなんて、認めたくなかったのかも
しれないですが、どうやっても
その理屈を作れなかったのでしょう。
ここ最近になって選択的夫婦別姓に対する
世論の関心が高まってきたことや、
オリンピックを意識したものもあると思います。
こうした状況において、外国で婚姻届けを
出した夫婦は、日本国内では婚姻を
認めないとすることは、きわめて
やりにくいものとなったのでしょう。
戸籍への記載は認めなくてもすんでいます。
現行の夫婦同姓の強制も合憲のままでよく、
違憲とせずにすんでいます。
「砦」は守られていると言えます。
それで裁判所としても、原告夫妻が
日本国内で法律婚状態にあることくらいは
認めてもよいと考えたのかもしれないです。