想田和弘氏と柏木規与子氏夫妻による、
夫婦別姓・確認訴訟ですが、
外国で出した婚姻届けが日本国内で有効となった
ポイントは「通則法24条」でした。
「「夫婦別姓議論、次のステップに」 米国で別姓婚「日本でも有効」 地裁判決の意義」
アメリカをはじめ、海外では別姓婚が認められているが、
日本ではいまだ同姓が義務付けられている。
今回の判決では、外国で現地の方式に
したがって、夫婦が同じ氏を定めないまま、
結婚を挙行することは「当然に想定されている」とし、
そのような場合でも、通則法24条2項に
定められている以上、「2人の婚姻自体は、
有効に成立しているものと認められる」とした。
「通則法24条2項では、婚姻の方式は、
『婚姻挙行地の法による』と規定していますので、
別姓での結婚を認めているアメリカで結婚したら、
それは通則法により日本でも有効になる、
という地裁判決でした。
この通則法は24条、「婚姻の方式は
婚姻挙行地の法」によるというものです。
これによって日本人どうしでも外国で
婚姻届けを出した場合、その婚姻は
日本国内でも有効となるということです。
国側の反論は、「日本国内では夫婦同姓と
ならないと婚姻が成立しない、
よって外国で夫婦別姓を選択した婚姻は、
日本国内では無効」という趣旨です。
国は、日本では、夫婦氏を決めて婚姻届を
提出しないと婚姻が有効にならないのだから、
別姓の外国での婚姻は日本では無効だと
主張したのだと思います。
しかし、裁判所は、日本の民法750条の
夫婦同氏規定は『婚姻の効力』として
規定されているので、氏を決めて婚姻届を
提出することは、『婚姻の要件』そのものとは異なる、
という判断を出したわけです」
日本国内の婚姻で夫婦同姓とすることは
「創設的届け出」にともなう条件である、
外国で婚姻した場合は「報告的届け出」なので、
夫婦同姓の規定は適用されない、
というのが国側の主張に対する
反論となったのでしょう。
夫婦同姓の規定は日本国内で、
「これから婚姻しようとする」場合に
適用されるということです。
これは戸籍法74条でも明記されています。
「すでに婚姻した」場合となる外国で
婚姻したかたに対しては、夫婦同姓はかならず
課される条件ではないということです。
国側の主張には無理があることになるし、
裁判所もそう判断したことになります。
通則法にもとづけば、外国で婚姻届けを
出して夫婦別姓を選択した場合、
日本国内でもそれは有効となることは、
以前ご紹介した、最高裁判決のくずしかたを
解説したサイトでも述べられていました。
「現行民法で夫婦別姓で法律婚をする」
「【裏技編】「夫婦別姓訴訟」最高裁判決の崩し方」
現に裁判で、外国で夫婦別姓を選択して
婚姻したケースが、日本国内で有効という
判決が出たのであり、この記事を書いたかたは、
洞察がするどかったと言えるでしょう。