5月10日エントリの続き。
世界経済フォーラムが発表する
「ジェンダーギャップ指数」の日本の結果について
よりくわしく見ていくことにします。
このランキングは「経済」「教育」「健康」
「政治」の、4つの分野にわけて調査しています。
日本でとりわけジェンダー格差が
大きい分野は「経済」と「政治」です。
各分野はさらに項目を細かく
わけていて、それぞれの項目ごとの
スコアとランクも示されています。
今回は「経済」分野を見ていくことにします。
経済分野でもっとも日本のジェンダー格差が
目立つのは「女性管理職、経営者」です。
男性が1に対して女性は0.173です。
女性の管理職や経営者は
男性の2割もいないということです。
管理職、経営者の全体の中でしめる
女性の割合は14.7%ということになります。
日本の女性管理職の割合は、
欧米の民主主義国や一部の東南アジアの国と
くらべると圧倒的に低いです。
こうした現状が、ジェンダーギャップ指数でも
反映されているということです。
「就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)」
自民党は安倍政権時代に、女性管理職の割合を
2020年までに30%にするという目標を立てて、
それを2014年の衆院選で選挙公約にしていました。
「各政党のジェンダー政策(2)」
2015年には早くもこの目標を断念です。
女性管理職の割合がぜんぜん増えないので、
とても達成できないと判断したのでしょう。
「女性管理職30%の目標断念」
2020年には「2030年までもできるかぎり
早い時期に女性管理職を30%程度にする」に
目標が再度設定されました。
「女性管理職30%・2030年に目標を先送り」
女性管理職の割合を高める積極的な
施策があった様子はないですし、
このような目標の挫折や修正のくりかえしは、
ごもっともなことだと思います。
「経済」分野で、日本のジェンダー格差が
大きい項目は「賃金格差」でスコアは0.563です。
女性の賃金は男性の半分よりちょっと
多い程度ということです。
これはとくに既婚男性に有利な賃金体系や、
女性は結婚するとパートに回されるなどで、
賃金水準が下がることが原因と考えられます。
「男は結婚で年収が増える」
「女は結婚で年収が減る」
そのつぎにジェンダー格差が大きい項目は、
「同一労働、同一賃金」の0.651です。
これも女性は賃金水準の低いパートに
回されることが多いことを
示していると考えられます。
「男女別正規・非正規雇用の数」
「管理職、専門職」のスコアは0.699です。
もともと日本は女性の大学進学率が
低いことに加えて、女性の大学卒の就労率も
低いことが関係しているかもしれないです。
「大学進学率のジェンダー比較」
「大卒女性の低い就業率」
「労働力率」のスコアは0.840です。
この項目だけ格差が小さめではあります。
これは女性も働いている、ということなので、
専業主婦の女性は少ない、
ということだと言えます。
上述の図を見てもわかるように
女性の労働力率は諸外国も同程度で、
多くの国で45%を超えています。
日本が取り立ててジェンダー格差が
小さいということではないです。
ここでお話したことは、わたしのブログでも
何度も取り上げていることですし、
常識的にご存知のかたもいらっしゃると思います。
それでもこのような調査をあまり
ご存知ないかたもいらっしゃると思ったので、
あらためて少し詳しくお話したしだいです。