自民党では次の衆院選には出馬せず
引退を決めた議員の選挙区の後継に、
世襲の候補者がつぎつぎと内定しています。
「自民後継に世襲続々 たたき上げ菅氏、口挟まず―次期衆院選」
世襲候補者、世襲議員の問題については
たくさん議論されていると思います。
ここではくわしく触れないことにします。
衆院選不出馬を表明した
自民党のベテラン議員の後継に、
世襲の新人候補内定が相次いでいる。
世襲は選挙地盤や親の知名度などを生かせる
メリットがあるが、政界への新たな人材参入を
阻んでいるとの批判も根強い。
国会議員秘書出身で「たたき上げ」の
菅義偉首相はかつて世襲制限を主張していたが、
今回の決定に異論を唱えた形跡はない。
世襲議員に対する批判はむかしからありました。
それを意識して党の内規で、世襲の禁止や
制限をするようにもなっていました。
自民党は他党とくらべて世襲議員の
割合が高いのですが、そんな自民党でも
世襲制限を定めたことがありました。
今度の衆院選では、自民党はそうした世襲の
制限などまったく念頭にないようです。
かつてのまがりなりにも世襲問題に
意識があったことにくらべると、
自民党はすっかり逆行したようです。
候補者を世襲で堅めていく理由は、
でないと選挙に勝てそうにないからです。
党関係者は世襲候補の内定について
「内閣支持率低迷で厳しい選挙が予想される。
親の後援会など組織力に頼らざるを得ない」とみる。
コロナ対策などで追い詰められて、
自民党は世襲を制限する余裕が
なくなっているのでしょう。
世襲でないと、当選できそうな人材が
自民党にはいないということでもあり、
これも問題になるところです。
候補者に世襲ばかり選んでいることに対して、
自民党の要職にある人たちも、
開き直ったことを言っています。
二階氏は20日の記者会見で「人物がいいか
どうかで最終決定する。世襲だからいいとか
悪いとかではない」と問題視しない考えだ。
世耕弘成参院幹事長も会見で
「選挙に勝てる候補を選んでいく」と指摘した。
このようなことを言う場合は、
たいてい世襲かどうかにこだわっています。
世襲を優先させていることを
ごまかすために、「本人の能力や
資質で選んでいる」と言うわけです。
わたしの印象を言わせれば、
自民党はまだこんなレベルにいるのか、
というのが率直なところです。
前述のように世襲批判はむかしからありました。
それでも世襲候補者は当選するので、
有権者もそれなりに受け入れているのだろうと、
ある程度のあきらめの感はありました。
いまの自民党はそのころから
時代を逆行しているくらいです。
かつてより自民党は時代錯誤の
程度が増して、どこか浮いたものがあると、
わたしは感じています。