2022年01月04日

toujyouka016.jpg 経口中絶薬・異様な高額に設定される?

少し前のニュース。

12月22日に、イギリスの製薬会社が
「経口中絶薬」を日本国内で使用できるよう
厚生労働省に承認を申請しました。

「「経口中絶薬」の使用 承認申請 国内初 手術伴わない選択肢」
(はてなブックマーク)

 
経口中絶薬とは文字通り、
飲むだけで妊娠中絶ができる薬です。
従来の中絶のような外科的な
手術は必要としないです。

従来の方法よりずっと安全に
中絶ができるので、この経口中絶薬が
承認されれば、望まない妊娠を
避けたい女性にとっては
朗報となるはずのものです。


なぜ「朗報となるはず」かというと、
日本産婦人科医会は、この経口中絶薬の
価格を10万円程度に設定しようと
しているからです。

日本産婦人科医会は、処方は当面、
入院が可能な医療機関で、中絶を行う
資格のある医師だけが行うべきだとしていて、
木下会長は「医師は薬を処方するだけでなく、
排出されなかった場合の外科的手術など、
その後の管理も行うので相応の管理料が
必要だ」と述べて、薬の処方にかかる
費用について10万円程度かかる手術と同等の
料金設定が望ましいとする考えを示しました。

今回の経口中絶薬は、諸外国での
平均価格は740円程度です。
1000円もしない薬を10万円にする
というのですから、本来の100倍以上の
値段をつけていることになります。

こんな理不尽なまでの高額に
されては、一般のかたにはとても
利用できたものではないです。

このあと経口中絶薬が厚生労働省の
承認を得たとしても、実質的に承認されて
いないも同然になると言えます。

経口中絶薬の価格について、
WHOによると海外での平均価格は
およそ740円であるとして、
国内で承認された場合は安価な料金で
処方されるようにしてほしいと訴えているほか、
WHOは胎児の心拍が止まり、流産になったときでも
使用を推奨しているとして
流産への適応拡大も求めています。



今回の経口中絶薬は、現在世界の
80カ国以上で承認されています。

WHOも「必須医薬品」に指定し、
リスクのある外科的な手術より
より安全性の高いこの経口中絶薬を
使用することを推奨しています。

この薬は海外では80以上の国と地域で承認され、
WHO=世界保健機関は安全で
効果的だとして推奨しています。

また、日本の初期中絶の手術費用に比べ安価で、
体への負担も軽いということで、
女性団体や医療関係者から心身の
負担軽減につながるという声もあります。
さらにこれらの経口中絶薬については、
WHO=世界保健機関は2005年に
妥当な価格で広く使用されるべき薬として、
風疹やインフルエンザの予防接種に
使われるワクチンなどと同じ
「必須医薬品」に指定しています。

安全性と有効性が実証されている
医薬品なのに、まともに利用できない
レベルの高額設定をするのは、
日本産婦人科医会は、
どういうことなのかと思います。



日本産婦人科医会も経口中絶薬の
安全性と有効性という科学的事実は
認めているもののようです。

そうなると、経口中絶薬の価格を
異様に高額にするのは、
「薬で簡単に中絶できる」の
くだりにあると思われます。

経口中絶薬の承認申請について、
日本産婦人科医会の木下勝之会長は
「医学の進歩による新しい方法であり、
治験を行ったうえで安全だということならば、
中絶薬の導入は仕方がないと思っている。

しかし、薬で簡単に中絶できるという
捉え方をされないか懸念している。
薬を服用し、夜間に自宅で出血した場合に
心配になる女性もいると思う。
そうした場合にすぐに対応できる
体制も必要だ」と述べました。


日本での経口中絶薬の予定価格の
約10万円というのは、従来の外科的手術の
費用とほぼ同程度です。

つまり日本産婦人科医会としては、
中絶が現在より容易かつ安全にしたくない、
ということだと思われます。

なぜ中絶を容易かつ安全にしたくないと
日本産婦人科医会は考えるのか、
という問題になります。
これはエントリが長くなったので、
あらためて考察したいと思います。

posted by たんぽぽ at 21:53 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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