野党共闘の成果について、
わたしが特筆したい指摘があります。
「第2回 野党共闘はどこへ」
それは都市部、関東地方で野党共闘の成果が
大きくあらわれている、ということです。
なかでも関東では伸びているところが多く、
当時現職の自民党の幹事長であった
甘利明氏や、元幹事長であった
石原伸晃氏が敗北することとなりました。
一本化は都市部の票をまとめる戦術として、
特に有効性を発揮したといえるでしょう。
これは野党共闘には都市部の無党派層から
票を集める力があることになります。
55年体制時代、自民党は「政治家城下町」
とでも呼べる支持基盤を作っていました。
これはその地方の自民党の代議士を
中心に、企業や個人後援会などを含む
その地域の後援組織の集団です。
「政治家城下町」
こうした支持基盤集団を作ることで、
自民党の代議士を通じて、
その地域の振興のための予算や
補助金を獲得できるようになります。
かくして、地元の産業を活性化させるので、
その地元の人たちはみんな自民党の
議員に投票するようになります。
都市部の無党派層は、このような
地方の「政治家城下町」からは、
とうぜん締め出されることになります。
それゆえ「政治家城下町」から
当選する(自民党)議員ばかりになると、
都市部の無党派層はいつまでも
彼らの利益を代弁する議員が
あらわれないことになります。
自民党の「万年与党」体制のもと、
ずっと政治から締め出されてきた都市部の
無党派層の声を拾えないだろうか?
それが1990年代からの政治改革、
ないし民主党の重要課題のひとつでした。
初期の民主党のスローガンは
「市民が主役の民主党」でした。
これは自民党のオルタナティブとして、
都市部の無党派の声を拾うことを
意識したということです。
政治改革ないし民主党がねらった
「都市部の無党派層の声を拾う」
という戦略は、野党共闘によって
実現したとも言えるでしょう。