2022年12月30日

toujyouka016.jpg 統一教会の組織票を推定する

統一教会が自民党の選挙支援を
することで、自民党は選挙で有利に
戦えることはよく言われます。

このあたりについてデータを使って
より定量的に調査した記事があります。
例の「未来社会プロジェクト」の
三春充希氏の調査です。

「旧統一協会の組織票分布の推定」
「旧統一協会の票の大きさをどう見るか?」

 
この調査では2019年と2022年の
参院選・比例区に出馬した井上義行氏の
得票を使って、統一教会の組織票は
どの程度かを推定しています。

井上義行氏は2019年の参院選では
統一教会の支援はなく落選しました。
2022年の参院選では、統一教会の
支援を受けて当選しています。

それゆえ井上義行氏の2回の参院選の
得票の変化を調べることで、
統一教会の組織票の規模の程度を、
推定できることになります。


調査のくわしい過程は、三春充希氏の
記事を直接ご覧いただくとして、
結論だけ示すと、統一教会からの票は
約80000票と推定されます。

井上氏が全国で得た票は、
第25回参院選(2019年)では87,947票で、
第26回参院選(2022年)では165,062票でした。
77,115票が増えています。

けれどもこれは、井上氏の票が
減少した地域を含む集計です。
例えば図3を見ると、井上氏は地盤の
神奈川県西部で票を減らしていることが
わかりますが、これは従来からの
個人の支持を失ったものと考えられるので、
旧統一協会の選挙協力とは別の問題です。

こうした票が減少した地域を
除外して集計を行うと、井上氏の票の
増加分は81,973票となります。

旧統一協会の信者数は、鈴木エイト氏が
「日本で10万人」としています。
10万人というのが子供を含んだ
数字であるならば、日本の有権者数が
人口の0.83倍であることから比例的に考えて、
旧統一協会の有権者は83,000人程度。
これは81,973票とおおむね
整合するといえるでしょう。

この80000票は、日本の統一教会の
信者の数とつじつまが合います。
なので、三春充希氏の推定は
かなり妥当と考えられるでしょう。


9月18日エントリで触れましたが、
2013年の参院選で、北村経夫が
統一教会から得た票も約8万でした。

「自民党・安倍長期政権と統一教会」

安倍首相が「じきじきに」後援を依頼し、
菅官房長官の「仕切り」によって
統一教会で講演した北村は
教団組織票の上乗せで当選した。

当初、統一教会から北村への
組織票の目標数は10万票。
しかし内部情報によると
実際の北村への教団票は約8万票止まり。
それでも北村の総得票数(142,613票)のうち、
過半数の8万票が統一教会信者の
組織票だったということになる。

統一教会の組織票を動員すれば、
自民党の候補者は、参院選の比例区で
約8万票の上積みが見込めるわけです。


この三春充希氏の調査は
すばらしいと、わたしは思います。
公開されている得票数の情報だけで、
統一教会の組織票の規模を
ほぼ適切に推定したからです。

その推定値は、内部情報にもとづく
北村経夫が2013年に得た
組織票数ともほぼ一致します。
そして日本全国の統一教会の
信者の数ともつじつまが合います。

実証的な調査とはこういうものだ、
ということをあらためて
知らしめた感があります。


統一教会の組織票は、かならずしも
信者からだけでない可能性もあります。
信者が家族、親族や友人、知人を
誘っている可能性もあるからです。

2013年の参院選では、自民党の
統一教会からの組織票の目標は
10万だったとあります。
信者の数より多いと考えられます。
それゆえ、信者が周辺の人たちを
誘うことも期待したと考えられます。

それゆえ統一教会の組織票の規模と
信者の数が一致することは、
いちおう注意が必要かもしれないです。

統一教会の組織票の「うちわけ」は
ともかく、規模が約8万票というのは
ほぼたしかだろうと思います。

posted by たんぽぽ at 22:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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