2024年03月03日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓第三次訴訟・原告の主張

3月2日エントリの続き。

夫婦別姓第三次訴訟ですが、原告の主張について
少しくわしく見ておくことにします。

「夫婦別姓も選べる社会へ!訴訟」
「夫婦別姓「三度目の正直」か、東京と札幌で同時提訴へ  「高まる世論、今度こそ違憲判断を」」

 
現状は婚姻するために、夫婦のいずれかが
苗字を変えるか、双方が苗字を
維持するために婚姻をあきらめるかの
「二者択一」だとしています。

双方が結婚改姓せず夫婦別姓で婚姻する
選択肢が例外として認められないので、
現在の民法、戸籍法は違憲としています。

「民法750条、同739条1項および
戸籍法74条1号は、すべての夫婦に対して、
婚姻に際していずれか一方が氏を変更して
夫婦同氏となることを求めており、
双方が氏を維持したまま婚姻する等の
例外を一切認めていない(夫婦同氏制度)。

これは、婚姻しようとする者に対して、
婚姻するために夫婦のいずれか一方が
氏を変更するか、双方が氏を維持するために
婚姻を諦めるかの過酷な二者択一を迫るものである。
原告らは、本件各規定が別氏という
例外を認めていないという限度において
違憲無効であると主張するものである」


現行民法と戸籍法は婚姻の際に
「過酷な二者択一」をつきつけることは、
現実に結婚と苗字の問題に直面するかたは、
嫌というほど感じていると思います。
まごうことなき「現実」です。

憲法24条は両性の合意のみで
婚姻が成立するとしています。
「二者択一」の存在をしめすことで、
「両性の合意」以外の条件を要求されると、
主張したいものと思います。

夫婦別姓の選択肢を「例外」とすることは
しばしひっかかるかもしれないです。
あえて「例外」と表現することで、
現行民法に選択の余地がなく、
強制性があることを強調できる、
ということかもしれないです。


原告らが求めるものは以下のようです。
メインの主張は(1)の地位確認でしょうか。

これが「二者択一」が存在することで、
現行民法と戸籍法が「両性の合意」以外の
条件を婚姻するふたりに対して
要求することをしめすからです。

⑴ 地位確認:
夫婦双方の結婚前の名字を維持したまま
結婚し得る地位にあることの確認

⑵ 違法確認:
(⑴が認められない場合の予備的請求)
国が、法律を改正しないことにより、
原告らが夫婦双方の婚姻前の氏を維持したまま
婚姻することを認めないことは違法であることの確認

⑶ 国家賠償請求:
国が、法律を改正しないことによって、
原告らが夫婦双方の結婚前の名字を
維持したまま結婚することを認められなかった
ことにより、原告らに生じた損害の賠償


以下は原告らの主張の法的根拠です。
国際条約違反はもちろん主張しています。
日本が批准した条約を守る義務がある
憲法98条に対する違憲性も主張しています。

・憲法13条及び憲法24条1項違反

夫婦同姓制度は、憲法13条によって
保障される「氏名に関する人格的利益」および、
憲法24条1項が保障する「婚姻をするに
ついての自律的な意思決定」を制約するものであり、
かかる制約は必要かつ合理性のあるものとはいえない。

よって、夫婦同姓を義務付ける規定が、
別姓という例外を認めないことは
憲法13条および憲法24条1項に違反する。


・憲法24条2項違反

夫婦同姓を義務付ける規定が
別姓という例外を認めていないことは、
個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に
照らして合理性を欠き、国会の立法裁量を
逸脱するものとして、憲法24条2項に違反する。


・国際人権条約および憲法98条2項違反

夫婦同姓を義務付ける規定は
「婚姻に際して姓を選択する権利についての
夫婦の同一の権利などを保障している
女性差別撤廃条約、および自由権規約に違反し、
同時に、国家に条約遵守義務を
課している憲法98条2項にも違反する。

posted by たんぽぽ at 21:55 | Comment(4) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
被告の国の担当者は、反論考えるの面倒だから認めちゃおうという考えにはならないのでしょうか。
Posted by 改姓した男の人 at 2024年03月08日 22:06
そんな考えには絶対ならないと思います。
国側は自分たちは訴訟でかならず勝つと、
確信しているからです。


法廷では例によって論理の破綻した
主張を展開して、国側はぶざまな
醜態をさらすと思います。

それでもどんなに国側がなさけない議論を
やらかしたところで、裁判所はかならず
国の味方をして、国を勝たせます。

国側はそんな裁判所を信じているので、
訴訟になるといつも自信たっぷりで
徹底抗戦のかまえをしめすわけです。
Posted by たんぽぽ at 2024年03月09日 17:27
国側は、夫婦別姓が嫌な老害男性が反論を考えていると思います。
その老害男性が引退した後は、夫婦別姓が嫌な人がいなくなるので国側は反論しなくなると思います。
Posted by あいうえお at 2025年03月07日 21:43
あいうえおさん

現役の「老害男性」が引退しても、
彼らの主張はそのまま引き継がれると思います。

なので次代の国側の反対派(非共存派)も、
先代が残した主張を使って、
反論してくると考えられます。

(反対派(非共存派)なんて、
すでに反論された主張でも、
平然と使いまわしてくると思います。)
Posted by たんぽぽ at 2025年03月15日 21:38
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