2024年08月29日

toujyouka016.jpg 「楽園」のねずみの個体群密度の推移

8月27日エントリの続き。

カルフーンの「ねずみの楽園」では、
ねずみの数(個体群密度)がどのように
推移したかを、見てみたいと思います。

 
この図はカルフーンの原論文
"Death Squared: The Explosive Growth and Demise of a Mouse Population"
(死の二乗: ネズミの個体群密度の爆発的増加と消滅)
に載せられた図です。



カフルーンはねずみの数の変化率によって
大きく4つの段階にわけました。

段階A: 1 - 104日

最初に雄16匹、雌16匹の合計32匹のねずみたちが、
ひとつの居住空間に入りました。
その最初のねずみたちが環境に慣れて、
最初に出産するまで104日間かかりました。


段階B: 105 - 315日

55日のペースでねずみの数は2倍になります。
順調にねずみは増えていますが、「勝ち組雄」と
「非もて雄」という階層ができてきます。

315日の時点で、ねずみの数は620匹。


段階C: 316 - 560日

145日のペースでねずみの数は2倍になります。
段階Bのときより増えかたが鈍くなります。

「ナンパ狂」と「レイプ魔」の雄が、
雌にとってストレスとなり、雌自身の死亡率や、
死産率、乳幼児死亡率が高くなったからです。

段階Cの最後のほうになると、
雌の育児放棄も目立つようになります。
雌にかかるストレスゆえに
負担のかかる妊娠、出産、育児が
困難になったからと考えられます。

560日の時点で、ねずみの数は約2200匹。
これがピークでした。


段階D: 561日以降

カルフーンはこの居住空間は、全部で3840匹の
ねずみが暮らせると考えていました。
ところが半分を少しこえた2200匹を
ピークにして、減少することになります。

雌へのストレスは依然として強く、
雌の育児放棄は常態化かつ程度がひどくなり、
乳幼児の死亡率は96%に達します。
最後の死産でない出産は600日目です。
最後の妊娠は920日目でした。


「楽園」の終わりのほうは、
自分の暮らししか関心のない
「ひきこもり」ばかりとなります。

密集状態なんてとっくになくなっていました。
それでも「ひきこもり」たちの身に
染みついた性格は、もはや
変わるはずもないことでした。

彼ら「ひきこもり」たちがふたたび
求愛活動をすることはなかったし、
新しく子ねずみが生まれることも、
まったくありませんでした。

1780日目に、最後の雄がなくなりました。
かくして「楽園」は5年を待たず滅亡しました。


「勝ち組・家持ち」の雄が、自分の家の雌を
守り続けていられれば、まだなんとか
「楽園」は続いたのだろうと思います。

「家持ち」の雌は、「ナンパ狂」や
「レイプ魔」の脅威も少なく、比較的安心して
妊娠、出産、育児ができたからです。
(「ひきこもり」はいくらいても害にならない。)

そのような「家持ち」の雌の子どもたちは
育児放棄されず、ふつうに成長します。
なので「行動の沈下」を起こさず、
次世代の子ねずみを産んでいったと思われます。


ところがねずみの数が増えてくると、
「家持ち」の雄が、自分の家の雌を
守りきれなくなってきたのでした。

それで「家持ち」の雌も、「ナンパ狂」と
「レイプ魔」にさらされてメンタルが崩壊し、
育児放棄をするようになったと思われます。

posted by たんぽぽ at 21:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 科学一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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