8月29日エントリの続き。
カルフーンは動物の「生」をおびやかし、
「死」の可能性を高める要因として、
「資源不足」「移住」「厳しい気候」
「病気」「捕食」の5つを挙げました。
「捕食」「病気」「厳しい気候」が
脅威になるのは、いうまでもないと思います。
「資源不足」はおもに食べものや
水が不足することです。
「移住」とは生活の場所を求めて、
よそへ移動する際にともなう危険です。
「旅」は負担がかかるし、途中でほかの4つの
脅威に見舞われる可能性も高くなります。
移住先で安心して暮らせるともかぎらないです。
カルフーンの「ねずみの楽園」は、
これら5つの動物の脅威がまったく
ないようにした(はずの)ものでした。
ねずみたちが生きていく上で必要なものは
すべて用意されている、ということです。
いままでのお話を見てきたところでは、
カルフーンの「楽園」には、生きていく上で
必要と思われるのに、あきらかに
「ない」ものがあると思います。
それは「恋愛」「性愛」です。
「カルフーンのねずみ・楽園を滅ぼした非もて」
「「楽園」のねずみの個体群密度の推移」
「勝ち組」雄が複数の雌を自分の家に
囲い込んだので、求愛対象の雌に飢えた
「非もて雄」がたくさん出てきたのでした。
「非もて」雄は、自然状態なら移住ができます。
よそへ移住すれば自分もどこかで
雌にめぐりあえるかもしれないと、
いくばくかの期待も持てるでしょう。
移住しても雌はいないかもしれないし、
雌がいてもやはりほかの雄に取られる
可能性はあるし、その前に移住の途中で
命を落とす可能性も高いです。
それでも自分なりに主体的に行動した
結果ですから、その意味ではまがりなりにも
納得できることになります。
カルフーンの「楽園」においては、
よそへ移住することができないです。
なので眼の前にいる雌を相手にするよりなく、
「ナンパ狂」か「レイプ魔」と化することに
なったものと思われます。
そうでなければ、雌なんかもう無理と
いさぎよく断念して、ほかのねずみとの関わりも
いっさい断つ「ひきこもり」になるわけです。
「ナンパ狂」と「レイプ魔」が徘徊することは、
雌にとってストレスとなりました。
雌の攻撃性が増したり、育児放棄が
常態化するようにもなってきました。
「楽園」の雌たちのメンタルは、
かなりダメージを受けていたのではないかと思います。
精神疾患に罹患したねずみもたくさん
いたのではないかと、わたしは想像します。
雌の死亡率の増加や、死産率、
乳幼児死亡率の増加は、ねずみたちが
精神衛生上はななだ不健康な状態にあったことを
はっきりしめしていると思います。
動物の「生」をおびやかす5つの要因のうち
「病気」は存在したのだと思います。
それはねずみたちの「死」の可能性を
高めたものと思います。
付記:
「物質的に満たされてもそれだけでは
生きていけない、生きていくには
恋愛が必要だ」という、いささか「べた」な
お話なってしまいました。