2024年12月30日

toujyouka016.jpg 事前審査・与党と官僚の密室の会合

自民党(与党)の「事前審査」についての記事が、
11月29日の東京新聞に出ています。
(これも1ヶ月前の記事で恐縮です。)

「密室の裏取引で政治は決まってきた…与党の「事前審査」重視をやめ、熟議と公開」実現を 野中尚人教授が語る」

 


自民党(与党)の「事前審査」とはなんだ?
そんなのはじめて聞いた、というかたも
いらっしゃるかもしれないです。
いままでご存じなかったかたは、
ぜひこの機会に知っておくことをおすすめします。

東京新聞の記事は会員限定で、
残念ながら最初のほうしか読めないです。

自民、公明両党は28日に開会した
臨時国会で審議される経済対策を巡り、
国民民主党との協議を余儀なくされている。
これまでは与党だけの事前審査で
政府の予算案や法案の内容を固めて
国会で成立させていたが、衆院で少数与党となって
野党の協力なしでは成立させられなくなったためだ。

学習院大の野中尚人教授(比較政治学)に
事前審査の問題点や政策決定の
あるべき姿を聞いた。(川田篤志)


−与党の事前審査には批判の声が上がっていた。

「与党は多数派であることを前提に、
国会審議に先立って政府提出の法案や
予算案の事前審査を重視していた。

そこで与党議員と官僚が細かい調整をして
結論を出してしまい、国会で与党議員は建設的な
議論をせず、多数決で全部通してしまう。
政府を監視するという国会の役割を
無意味なものにしてしまっていた」


 −具体的な弊害は。

「国会での発言は記録が残り、政府・与党に責任が
生じるが、事前審査は議員と官僚の間で
どんな話し合いがあったか外からは
見えず、裏取引のようなものだ。

選挙で支援してくれる業界の利権を国会議員が主張し、
省庁側が補助金などで調整するという
構造的な癒着が生まれやすい。
英国では議員と官僚の接触が原則禁止だ。


自民党(与党)の「事前審査」とは、
国会への法案提出にさきだって、
自民党(与党)と官僚が議論を行ない、
法案や予算案の内容を決定する、というものです。

国会では与党が多数であることを背景に、
官僚との事前審査で決定した法案を
多数決で可決していきます。
ようは国会での審議の前に「ことは決まる」のであり、
国会や野党の存在意義にかかわると言えます。


国会での審議とちがって、
与党の事前審査は議事録が残らないです。
実質的に自民党(与党)議員と官僚とのあいだの
「密室の会合」となっています。

与党の事前審査は公然となされていますし、
日本の政治にくわしいかたならご存知のことなので、
あまり「密室」という感じがしなくなっています。
実際には民主政治の基幹にかかわる
密室政治ですし、議論の透明性という観点からも
問題にすることだと思います。

このような自民党(与党)の事前審査は、
とうぜん議員と官僚の癒着を生みやすくします。
また政権交代が起こりにくくする
という作用ももたらします。


自民党(与党)の事前審査は、
何十年も前から続いていた慣行です。
いまになってあらためて問題視されるようになったのは、
自民・公明政権が少数与党になったからです。

野党・国民民主党と協議しなければ、
法案や予算案を成立できなくなったのでした。
それでこれまでのように与党の事前審査だけでは
法案、予算案を決定できなくなり、
事前審査が注目されることになったのでしょう。



付記:

選択的夫婦別姓に関係があることなので、
わたしは自民党(与党)の事前審査に触れたのでした。
長くなったので、今回は準備だけにして、
くわしくは稿をあらためたいと思います。



posted by たんぽぽ at 15:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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