産経新聞が行なった、小中学生対象の
選択的夫婦別姓のアンケート調査を
引き続き見ていきます。
「選択的夫婦別姓、「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答」
今回は3つめの質問を見てみたいと思います。
おそらく反対派(非共存派)としては、
「核心」の質問ではないかと思います。
3.もし、法律で「それぞれ別の
名字のままでも結婚できる」ことが決まり、
お父さんとお母さんが別の名字になったら、
子供もお父さんかお母さんの
どちらかとはちがう名字になったり、
兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかで
ちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、
反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15.0 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51.0 49.2 49.4
○よくわからない 18.0 11.4 15.4
一般の小中学生を対象にしている
アンケートですから、その多くは
夫婦同姓の家庭だと思います。
この設問は、現在夫婦同姓の家庭の
子どもに、「両親が夫婦別姓になって、
きゅうに親きょうだいで苗字が違ったら
どう思いますか?」と訊くということです。
そんな訊きかたをしたら、
きゅうに家族で別姓となることに
抵抗をしめす子どもが多くても
無理もないだろうと思います。
これね、小学生に限らず誰でも嵌まる落とし穴なんだけど、こう問われたら「いま同姓の家族の一人が急に別姓になったらどうか?」と考えるわけ。イヤに決まってるじゃん。選択的夫婦別姓の是非を問う問題として無意味なだけでなく、「家族が急に別姓になるのがイヤ」なら、選択的夫婦別姓賛成かもよ? https://t.co/DFCBy5d0UD pic.twitter.com/4Qee7IaiWo
— ねこ。代理出産合法化及び子宮移植反対! (@Katalernejo) January 3, 2025
産経という新聞が論評という知性ではなくて
— ELPAN (@ELPA_japan) January 5, 2025
正月早々の一面で
子供心へのアンケートという手に打って出たのには呆れますよね。
親子別姓の当事者の子供への詳細な調査ではなく、
家族同姓で育った子供に感想を聞けば、
そりゃ夫婦同姓が良いと言うに決まってるわな
感情に訴え知性が全く感じられない
上記ツイートでも言及がありますが、
「きゅうに夫婦別姓になる」のは
嫌だけれど、「生まれたときから
夫婦別姓」なら気にならない、
という子もいるかもしれないです。
このようなことを問題にするなら、
生まれたときから夫婦別姓の
家庭にいる子どもに対して、親きょうだいで
苗字が異なることをどう思うか?と
お尋ねするところだと思います。
現在でも、事実婚、旧姓使用、国際結婚で
夫婦別姓の家庭は日本にもあります。
そうした家庭の子どもたちが
苗字が原因で深刻な問題が起きた
という事例はないです。
「子どもの気持ちを考えていますが?」
「子どもの気持ちを考えてください」
反対派(非共存派)のとくに男性は
「妻が望まなくても改姓させて、
自分の苗字で夫婦同姓にしたい、
だから妻が復姓するのは嫌だ」と考えています。
よって彼ら反対派(非共存派)は、
選択的夫婦別姓問題というと、
「妻がきゅうに生来の苗字に復姓する」
という状況しか念頭にないのでしょう。
そのような問題意識の持ちかたなので、
子どもに関しては「家族同姓できた子どもが
きゅうに親きょうだいで別姓になる」
という状況しか出てこないのだと思います。
「家族同姓の子どもに、家族が別姓に
なったらどうするか?」を訊くのは、
反対派(非共存派)の認識に
もとづいた、反対派(非共存派)だから
出てくる発想、ということです。
付記:
産経のアンケートの設問文にある
「ちがう苗字になってしまう」や、
ふたつめの選択肢にある「仕方ない」は、
「夫婦別姓、親子別姓は好ましくないもの」と
誘導するものを感じます。
「エコーチャンバー」ですね。
「内輪受け」みたいなものだけど、
拡散して世論一般に浸透する可能性は
あるので、要注意だと思います。