2025年07月12日

toujyouka016.jpg 神谷宗幣・若い女性に子育てに専念させる?

前のエントリの続き。

参政党の神谷宗幣の「若い女性には仕事につかず
出産や子育てをする支援する」という公約を、
もっと見ていきたいと思います。

「参政党の神谷代表「高齢女性は子ども産めない」 公示第一声で発言」
「参政党の神谷代表「高齢の女性は子ども産めない」 公示第一声で言及」

 

そして「若い女性に子どもを産みたいとか、
子どもを産んだ方が安心して暮らせる
社会状況を作らないといけないのに、
『働け働け』とやり過ぎてしまった」と主張。
高校や大学卒業後に仕事に就かずに
子育てに専念する選択がしやすくなるよう、
子ども1人あたり月10万円を給付すると訴えた。
「0歳から15歳で1人1800万円、2人いたら3600万円。
これぐらいあればパートに出るよりも、
事務でアルバイトするよりもいいじゃないか」とも語った。


神谷宗幣は「将来の夢はお母さんという
カチカンを取り戻す必要がある」とも言っています。
あたかも自分たちが価値観の
多様性を尊重しているかのような
体裁にしているということです。

学校を卒業したら仕事につかないで
子育てに専念する女性に国策で補助金を出すと
言うのですから、それは「専業主婦」という
特定の価値観の優遇であって、
「多様性の尊重」ではないです。

参政は党の政策で、出産と子育てを「国の根幹の一つ」とし、
「特に出産を担う女性を尊重しなければならない」と主張。
「これまで国が積極的に進めてきた女性の社会進出が
一般化する中で『職業人としての女性』だけではなく
『専業主婦』も女性の尊い選択肢であり
『将来の夢はお母さん』という価値観を
取り戻す必要がある」としている。


神谷宗幣は「男女共同参画はまちがっていた」
という趣旨のことも言っています。
まがりなりにもジェンダー平等を
すすめてきた活動が「まちがっていた」と
言うのですから、それは多様性からの逆行を
示唆するというものです。

神谷氏は演説で、国内で人口減が進んでいる現状に言及。
「今まで間違えたんですよ。男女共同参画とか。
もちろん女性の社会進出はいいことだ。
どんどん働いてもらえば結構」とした上で、
「これを言うと差別だという人がいるが違う。現実だ。
申し訳ないけど、高齢の女性は子どもは産めない」と発言した。


なぜ「専業主婦」になる女性が減ってきたか
といえば、自身の収入がない、
もしくは少ないことの経済的な不利益が
決定的だからにほかならないです。

それは自分の身を守るためであり、
経済的合理性からも理にかなっているわけです。
価値観の変化(もあるでしょうが)だけの
問題ではないということです。


神谷宗幣は子どもひとりあたり
10万円を給付することを公約にしています。
これだけ収入があれば、仕事をするよりも
収入が多いと計算してもいます。

「お金がじゅうぶんあれば、
女は働くより専業主婦になりたいと
思うはずだ」という発想があるのでしょうか?
ある種の男性にありがちだと思います。

この場合でも、仕事を続けることによる
キャリアや技術を持てないですから、
将来的な経済的自立が困難になる
という問題は残ることになります。


神谷宗幣は「これだけ給付があれば
パートやアルバイトより収入が多い」と
比較しているのも、気になるところです。
「女性の仕事はこんなもの」という
意識が出ていると思います。

神谷宗幣は「世界をまたにかける商社マン」とか、
「腕利きのエンジニア」などに
女性がなることは念頭にないのでしょう。


言うまでもないことですが、
仕事を持つというのは、収入を確保するという
経済的な問題だけではないです。
自分の楽しみや生きがいだったり、
アイデンティティやレゾンデートル
というかたもいるわけです。

神谷宗幣の主張は、男性だけでなく
女性にもさまざまな仕事を通した
自己実現があることは、認識されていないようです。
「女はなんだかんだでみんな専業主婦に
なりたいものだ」という、ある種の男性の
意識のあらわれでしょう。


神谷宗幣の言いかたを見ていると、
「専業主婦」という価値観が否定され、
あたかも被害者であるかのようにも聞こえます。

「将来の夢はお母さん」というのは
そもそもが「保守本流」の価値観であり、
中高年男性のものだといえます。
こうした社会的強者の価値観は、
その社会でもっとも肯定されやすいものです。

そして社会的強者の価値観こそ、
対立する価値観を否定することが
しばしばあるのが現実なくらいです。
具体的には、子どもを持たない女性や、
出産後も仕事を続けようとする女性に対する
社会の扱いかたがしめしています。

posted by たんぽぽ at 17:10 | Comment(6) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - 神谷宗幣・若い女性に子育てに専念させる? web拍手
この記事へのコメント
家庭科男女別世代はこのような妄想を信じてしまうのでしょうか?
Posted by イト at 2025年07月12日 18:55
若い女性の生き方をオジサンに決めてほしくないと思います。このような考え方は肯定されるべきではないと思います。
Posted by ガンバ at 2025年07月12日 20:42
要するに押し付けがよくないんです。

「女性はスカートを履くべきだ」というのも良くないし、イスラム圏のように「薄いブラウスに短めのスカートで街を歩くなど犯罪だ」というのも良くないです。

政党が様々な策を打ち出すのは当然ですが、消費税が、減税が、防衛費がどうだという項目と違って、個々人に関しては圧力と感じるような言及は避けるべきです。

確かに、女性であっても働け、働け、政治が後押しするから女性もどんどん管理職、役員、さらにトップを目指すくらいに頑張れという声をあげる層に対して鬱陶しさを感じるのも事実です。

だからといって、働け、働けとやってきてしまったのは失敗だというのは分かりますが、専業主婦になるべきだという圧力を投入するのも鬱陶しいですね。

確かに専業主婦になりたいという女性が多いのも明らかですが、仕事で成果を出したい。出世したいという女性が多いのも明らか。
また専業主婦か仕事で出世したいか?
私はそのどちらでもありませんが、それが何か問題でしょうか?という女性も多いんです。

投げやりな言い方になりますが、それらの女性がそれぞれ勝手にしたらいいわけです。
それが「多様性」の本質ではないかと思います。
Posted by ネル at 2025年07月12日 23:24
令和なのにこんな昭和丸出しの発言が支持されるとは思えません。
Posted by イト at 2025年07月13日 22:38
イトさん
こちらにコメント、ありがとうございます。

>家庭科男女別世代はこのような妄想を

参政党の支持層は、若い世代も多いです。
なので、家庭科男女共学の世代でも、
神谷宗幣の妄想を信じる人はいる、
ということだと思います。


>令和なのにこんな昭和丸出しの発言が支持されるとは

現在の選挙情勢を見ると、参政党は10数議席を
獲得して、一挙に大躍進しそうです。
https://x.com/mainichi/status/1944488501887504570
Posted by たんぽぽ at 2025年07月14日 23:41
ガンバさん
こちらにコメント、ありがとうございます。

>若い女性の生き方をオジサンに決めて

神谷宗幣の発言に関しては、「またこんなことを
言うのが出てきた」という感じです。
いいかげんにしてほしいものですが、
まだまだあとをたたないのでしょう。
https://x.com/shirusaki_srhr/status/1943311842669142482


>このような考え方は肯定されるべきではない

上にも書いたけれど、参政党は今度の参院選で
ふたけた議席を取りそうです。
神谷宗幣のような考えを肯定する人は
日本社会には多い、ということなのでしょう。
https://x.com/mainichi/status/1944488501887504570
Posted by たんぽぽ at 2025年07月14日 23:42
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック