2007年10月22日

toujyouka016.jpg アインシュタインの予言(3)

「疑似科学の部屋」-「アインシュタインの予言」をすこし加筆。

『国家の品格』を書いた藤原正彦氏が、「予言」のビリーバーという
情報があったのですが、それが『文芸春秋』の06年4月号に、
出ていることがわかったので、書き加えました。

 
これは、平沼赳夫氏と、藤原正彦氏の対談で、
「この国のかたちを壊すのは誰だ」というタイトルの記事です。
こうもうしてはなんですが、都合のいいところを都合よく解釈して、
日本を持ち上げるという、安直なナショナリズムだと思いましたよ。

中心の話題は、コイズミ・カイカクの批判ですが、
あまり実際的な主張ではなく、おおよそ経済のことがわからず、
精神論で乗り切れと言う、現実からの乖離ぶりが出ていると思います。
アメリカ陰謀論にも傾いていて、国粋主義者たちの、
反米イデオロギーというのも、垣間見たように思いました。

あとのほうが、女性天皇のお話になっているのですが、
このくだりで、コンテンツで紹介したように、
「アインシュタインの予言」が、藤原氏によって持ち出されています。


藤原氏の科学史、数学史の認識のおそまつぶり、というか、
ご都合主義ぶりも、いろいろ言いたいことはありますが、
それよりも、わたしが「かちん」と来たのは、つぎの発言ですよ。
========
政治や経済で失敗しても、せいぜい所得が半減するくらいで、
そんなものはまた頑張れば取り返せる。
しかし女系天皇を認める、つまり万世一系を絶つというのは、
気の遠くなる昔から日本人が大切にしてきたものを
台無しにするということで、いったん途切れてしまえば、
もう取り返しがつきません。
========

所得が半分になれば、わたしは、ご飯が食べられなくなって、
路頭に迷うことにもなるし、それで明日の生活もなくなったら、
それこそ「取りかえしがつかない」ことになりますよ。

「万世一系」なんて、絶たれたところで、
生活に差しつかえることもないし、そんなものの取りかえしなど、
つかなくなっても、わたしは、ちっとも困らないですよ。
(だいたい、女は下がってろ、なんて「伝統」なんぞ、
わたしは「理屈抜き」で、受け入れられないよ。(笑))

藤原正彦(と、それにあいづちを打つ、平沼赳夫)は、
庶民の生活というのを、なんだと思っているのでしょうか?
社会が貧困から抜け出すために、今日にいたるまで、
どれだけの努力が払われたと、思っているのでしょうか?
そもそも政治や経済は、なんのためにあると思っているのでしょうか?
このもの言いは、傲慢なものさえ感じます。

posted by たんぽぽ at 21:08 | Comment(11) | TrackBack(3) | 更新記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
こんにちは。TBありがとうございます。
私のブログで書いた「萬晩報」の記事は、去年たんぽぽさんに教えていただいたものなので、どこかにTBしようと思ったのですが、すぐに見つからなかったのであきらめていました(笑)。
藤原の、なんとかの品格とかいう本(書名が出てこない)は、本屋で立ち読みして、1分で無価値だとわかったので、以後無視することにしてました。
だから、平沼赳夫が「アインシュタインの予言」にダマされていたというのは、別ルートで知ったのですが、ナナナナナント! 藤原と対談してたんですか。
平沼ごときを、たかが郵政民営化法案に反対したというだけで持ち上げる人もいますが、私には理解できません。
Posted by kojitaken at 2007年10月23日 00:36
藤原の著書名「国家の品格」はエントリ冒頭に記載されていましたね。すみません。
Posted by kojitaken at 2007年10月23日 12:10
藤原正彦ってホント品格無い。
ああいう論調の人が、女系天皇反対ってゆうのがセットされてくるっていうのが、
やっぱしね〜みたいな・・まあわかりやすい典型ですよね(笑)。
なんでこんな人の本が大ヒットしたのか、マジで意味がわかりません。
平沼赳夫は郵政反対で頑張ってきたけど、
こういう人に同調するあたり、やっぱりこの程度なんだ、といつも思います。
Posted by うがんざき at 2007年10月23日 12:36
kojitakenさま、こんにちは。
コメントとトラックバック、ありがとうございます。

kojitakenさまの記事を見て、「そんなのがあるのか」と思って、
「平沼赳夫」+「アインシュタインの予言」で検索してみたのよ。
そうしたら『文芸春秋』の、藤原正彦氏との対談が出てきたので、
「ああ、これのことだ」と思ったのでした。

対談では、「予言」を持ち出したのは藤原だけど、
平沼もぜんぜん訂正していないし、信じていると思います。
(平沼がみずから引用している文章も、べつにどこかにあるのかな?)

平沼赳夫氏は、コイズミ改革は、アメリカの要望を実現しただけ、として、
それをナショナリズムから反対しています。
郵政民営化も、例の「年次改革要望書」を強調して、
アメリカの要求にすぎない、という主張ですね。
同じようなことを言う人は、ウェブでもときどき見かけますし、
平沼を持ち上げる人は、こういう反米ナショナリズムを
評価するんじゃないかな...?


>藤原の著書名「国家の品格」はエントリ冒頭に記載されていましたね。

ああ、いえいえ。
(皮肉をこめるために、わざと伏せたのかと思っちゃった。(苦笑))

その「国家のなんとか」は、わたしも読んだことないですよ。
本のタイトルだけで、内容の予想がついちゃったので、
見る気がわいてこなかったのだ...(笑)
書評を書いているかたがいらしたのを、偶然見つけたんだけど、
やっぱりそういう本かと、納得したんだけれど。(笑)
Posted by たんぽぽ at 2007年10月24日 00:36
うがんざきさま、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

わたしは、藤原正彦のようなのは、ウケると思ったよ...
(売れているという評判を聞いて、さもありなんと思っちゃった。)
既成道徳のお題目や、固定観念が並んでいますから、
あたまの中に入って行きやすい人も、多いんだろうと思います。
それに、日本人の自尊心をくすぐりますから、
ある種の人たちには、心地よいでしょう...

平沼赳夫氏が、郵政民営化に反対しているのは、
経済効率や、国民の受益というより、ナショナリズムって感じですよ。
平沼氏に言わせると、55年体制時代が繁栄したのは、
「日本人の本来の精神」が保たれていたからで、それが損われたから、
バブルが崩壊して未曾有の不況におちいった、ということになるみたい。

バブルがはじけたのは、「日本人の本来の精神」の時代の
経済が破綻したからだし、そのあと人の心が変わったのは、
社会状況が変化して、それまで現われなかった
日本人のべつの側面が、出てきただけだと思うけど...
Posted by たんぽぽ at 2007年10月24日 00:39
平沼赳夫が「アインシュタインの予言」を信じていた証拠は下記です。
http://plaza.rakuten.co.jp/kawamurakent/diary/200602030000/

もとは、右翼論壇誌「正論」に載った記事をタイプしたもののようです。
ご覧の通り、日本会議の思想はカルト的としかいいようがありません。

「きまぐれな日々」では、明日か明後日に平沼赳夫をたたく記事の公開を予定しています(笑)。
Posted by kojitaken at 2007年10月24日 22:34
平沼赳夫ってこれだから国民新党にいけないんじゃないですかね。
ああなってまで自民党にぶら下がる必要あるんでしょうか。
結局参議院の選挙でも組織の一部が民主党支援に回ったようで。まあいずれにせよ、時代に取り残された一人の哀しい政治家ですよ。
Posted by 買国奴 at 2007年10月24日 23:32
kojitakenさま
記事のご紹介、どうもありがとうございます。

>http://plaza.rakuten.co.jp/kawamurakent/diary/200602030000/

おお、たしかに、平沼が自分の文章で引用してますねえ...
『正論!』の記事が出たのは、2006年の2月号だし、
発言自体は05年の11月だから、しっかり藤原正彦との対談の前ですね。



買国奴さま、いらっしゃいませ。
コメント、どうもありがとうございます。

バブル時代はよかった、なんて郷愁にひたっている人が、
いまだにいるとは、思わなかったですよ。

参院選で、支持基盤の一部が、民主党支持に回って、
姫井氏当選の一因になったのは、わたしも聞いたことがありますよ。
かかる造反は、親分を離党させた自民党への、恨みだというお話だけど。
Posted by たんぽぽ at 2007年10月25日 06:31
「アインシュタインの予言」を、すこしだけ書き直して、
平沼赳夫氏がみずから引用している、『正論』のことに触れました。
http://taraxacum.hp.infoseek.co.jp/teardrops/pseudo/einstein.html

kojitakenさま、教えてくださって、どうもありがとうです。
Posted by たんぽぽ at 2007年10月27日 17:30
いえいえ、どういたしまして。
ところで今回は本館のほうにもリンクを張ったんで、アクセスがどのくらい増えたかと思って今見に行ったら、カウンタが「17001」でした。また前後賞だった(笑)。
Posted by kojitaken at 2007年10月28日 12:33
こんにちは、コメント、どうもです。

>カウンタが「17001」でした。また前後賞だった(笑)

ううっ、またしても残念!(笑)
Posted by たんぽぽ at 2007年10月28日 15:08

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