こんなニュースがありましたよ。
「無戸籍児訴訟:原告一転敗訴 住民票不作成の世田谷区適法」
http://mainichi.jp/photo/news/20071106k0000m040087000c.html
婚姻届けを出していないので、記事にははっきり書いてないけれど、
事実婚と思われますが、子どもが非嫡出子になるので、
記載拒否のために、出生届けを出さずにいたのでした。
それで届けがないので、子どもの住民票を作らないというので、
世田谷区を相手に、訴訟になっていたのでした。
1審では、つぎのように原告が勝訴でした。
========
「幼稚園入園の申請など日常生活の不利益は見過ごせず、
将来的に選挙人名簿への未登録などの重大な問題が起こる」と
区の対応を違法と認め、住民票作成を命じる初判断を示した。
========
ところが、とても残念なことに、2審で逆転敗訴になった、
というのが、このニュースです。
========
藤村啓裁判長は「出生届を出すと父母や子が重大な不利益を被り、
社会通念上、届け出を期待できない場合に限って住民票を作成すべきだ」
という判断基準を示し、今回のケースについて
「両親の個人的信条で届け出を怠っているだけで、
例外的に作成を認める場合に当たらない」と述べた。
「出生届受理により住民票を作成する」と定めていることを根拠に、
無戸籍の子に裁量で住民票を作成するのは極めて
例外的な場合に限られると指摘した。その上で、
民法は法律婚主義を採用しており、
嫡出子と非嫡出子を分けるのは合理的理由のない差別とはいえない
========
1回の口答弁論だけで、1審をくつがしたとあります。
(婚外子差別は、日本が批准した条約に違反しているので、
国連から何度も勧告を受けていますから、すくなくとも、
親の「個人的信条」だけでないというのは、わたしも思います。)
察するに、判決は強引だったようですが、つぎのように、
こういうことは、めずらしくないことだったりします。
http://shinsoujisei.cocolog-nifty.com/shinsoujisei/2005/03/post_18.html
http://blog.livedoor.jp/yun0422/archives/17099468.html
「300日規定」でも、どう考えても前夫の子でないのに、
頑として実の父親の戸籍に、入れさせないくらいですし、
「婚外子差別反対」は、なおさら難しいだろうとは思います。
「法律で決まっているから、差別でも合理的として受け入れろ」と、
こと家族法になると教条的になる、日本の「社会通念」が、
またまた現われたと、わたしは思いましたよ。
原告ご夫妻は、このあと最高裁で争うのでしょうか?
2審がこんな調子なら、なおさら期待は薄そうに、わたしは思いますが、
それでも精一杯、がんばっていだたけたらと思います。
2007年11月08日
この記事へのトラックバック
原発を考える(下)
Excerpt: ―地震と原発事故がもたらす報道の 二つの流れ(2)― 前回は報道の二つの流れの一つを提示した。 “お前達..
Weblog: 関係性
Tracked: 2007-11-08 21:59
は???
Excerpt: 東京・世田谷区の住民票訴訟:事実婚夫婦、逆転敗訴 非嫡出子拒否は「個人的な信条」(毎日新聞) 選挙権の不利益は現実化しておらず って、この子どもが生き続けている限り、将来確実に現実化するだろう..
Weblog: かめ?
Tracked: 2007-11-14 07:55
親の罪は子に罰を
Excerpt: 今日は朝から晩までずーっと眠かった上に 夜になって蕁麻疹がぽつぽつ発生。 ってことで、早寝します。 その代わりに、ストックネタをアップ。 時機に遅れた感たっぷりのニュースの上に 推敲も足りて..
Weblog: ひまわり計画報告書
Tracked: 2007-11-14 10:08
毎日新聞でも別の記事には書いてありました。
非嫡出子の相続分に関する判例(嫡出子の2分の1になっているのは合憲という判断)でも
平成7年の大法廷決定でも15人の裁判官のうちう5人が反対していますし
平成15年の第1小法廷の判決でも5人のうち2人が反対、1人は賛成ながら立法措置を求める補足意見を出しています。
最高裁で争うときの、僅かな希望ですね。
事実婚って書いてある記事、わたしも見つけましたよ。
(原告のご夫妻は上告なさるのも、記事に書いてありますね。)
「事実婚夫婦、逆転敗訴 非嫡出子拒否は「個人的な信条」」
http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20071106ddm041040155000c.html
>非嫡出子の相続分に関する判例
ああ、そういえば、そんなこともありましたね。
(少しずつながら、光が差し込んではいるんだけどね...)