11月5日エントリでご紹介した、リチャード・コシミズの講演会に、
天木直人氏が、ゲスト出演していたのは、わたしも意外でしたよ。
思い込み強いところがある、という印象はあったのですが、
外務省に長く勤めていましたし、もっとまともなのかと思っていたのでした。
天木直人氏というのは、コイズミ政権による、
自衛隊のイラク派遣に反対して、外務省をやめたかたです。
『さらば外務省!』という本も書いていますし、
7月の参院選では、「9条ネット」という政党から出馬もしていました。
平和問題、9条問題に関心のあるかたは、よくご存知でしょう。
天木氏とコシミズのふたりは、この講演が初体面だそうですが、
ビデオのようすだと、天木氏は、コシミズを結構信頼している感じです。
このあとどうなったのかは、わたしには、わからないですが。
リチャード・コシミズは、さきの講演の中で、
「きょうの私のお話をちゃんと理解できたかたは、今度の参院選は、
天木さん以外に投票したくなくなる」なんて言っていました。
コシミズも、陰謀論者歴は長いでしょうから、
「かも」をおだてる手練手管も、心得ているのかもしれないです。
こうもうしてはなんですが、「護憲派」は終わっていると思いましたよ。
コシミズを信奉するのは、天木直人氏だけでないですし、
ユダヤは出てこないにしても、「アメリカ陰謀論」くらいのことを
言う人たちになると、ざらにいる感じです。
水素爆弾は出てこないにしても、9.11同時テロを
「自作自演だ」と言う人も、すくなくないですし、
『週刊金曜日』という雑誌で、紹介されたこともあります。(参照)
こうした状況は、最近に始まったことではないようです。
つぎの文章は、1999年に書かれたものですが、
「サヨク教条主義」なるものは、いまでも当てはまることが多そうです。
「「目糞、鼻糞を笑う」本多勝一バッシング」
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オウムシンパのような参加者が、反米主義、ウヨク「思想」、
国家主義、サヨク「思想」、「市民運動」、反ユダヤ主義の
アマルガムのような書き込みをしている様は、哀れとしか言いようがない。
そうしたトンデモ意見の基調としては、まずマスコミを「信じられない」とし、
マスコミ以下の何の根拠もなく流通している
個人による「思いこみ情報」を単純に「信じて」しまう。
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かかるていたらくの原因は、「自分たちは正義だ」という、
確信が強いからではないかと思います。
前に、共産党支持者にありがちと、わたしはお話しましたが、
反米指向や平和問題に関心のある人たち一般で見ても、
あてはまるかたは、それなりに多いように、わたしは思います。
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一方的な言い放しでいいのだ、「正しい」主張だから
それへの批判は一切不要、なのだろうか?
一番の危険は自らが絶対の「正義」であるとの思いこみにこそある。
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そこから、自分たち以外への不信が強くなったり、
「はじめに結論ありき」になって、個人的思い込みを
根拠もなく信用したりするので、得体の知れない「陰謀論」にも、
傾きやすくもなるのだろうと思います。
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まず、「週刊金曜日」は「個人的な思い込みを
安易に記事にしてしまう傾向がある」などと指摘されている。
これも、いわゆるサヨク一般に言えることであろう。
特にメーリングリストamlなどは論証抜きの
「個人的な思い込み」で満ち満ちている。
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社会のシステムを信頼せず、自分(たち)以外への
疑いの目・不信感で満たされ、歪んだ社会批判を続ける人たち。
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いずれにしても、陰謀論に毒された、政治家や活動家が多いのは、
ポテンシャル(潜在力)がその程度と、言えるでしょう。
最近10年の「護憲勢力」の泡沫化は、なるべくしてなった、
すくなくとも原因のひとつは、ここにあると、わたしは思いましたよ。
2007年11月18日
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TBありがとうございました.プロフィール等拝見しました.非常に面白い自己紹介だし,記事もいろいろ拝読して飽きないです.
護憲派も終わっている,というのは感じますねぇ.表に出ている人たちのポテンシャルがこれではねぇ・・という気分です.
わたしのブログに、コメントとトラックバックを
くださって、ありがとうございます。
はじめてかどうかは...わたしも覚えてないです。(苦笑)
あっちこっちに、TBを送ったこともあるので、
そのうちのどこかで、見かけられたのかもしれないです。
>非常に面白い自己紹介だし,記事もいろいろ拝読して飽きないです.
どうもありがとうございます。
偏った趣味で書いていて、ほとんどの記事は、
ほかのかたの関心はひかなそうだという、気持ちがあるので、
興味を持ってくださって、とてもうれしいです。
>表に出ている人たちのポテンシャルがこれではねぇ・・という気分です.
9.11同時テロの「自作自演説」も、疑似科学性に気が付いて、
批判なさるかたや、蔓延を問題視するかたも、
ときどきいらっしゃるんですけど、散発的という感じで、
いまひとつ広がらないんですよね...
ところで,リチャードコシミズ氏について,初めて知ったのはあるブログ主のリンクからでしたが,驚きました.その方がこんな人を評価しているなんて!という意味です.
私はコシミズ氏はトンデモ人間の部類に入るような人ではないのかなぁと思うのですが.そういう人を評価できない天木氏やきくちゆみ氏もそれぐらいの人なのかな・・という気分ですね.とくにきくち氏の方は多分終わってるのでしょう.
(4つ連続で、エントリを書いていらっしゃりますね。
でもって、どこもコメント欄がすごい...)
コシミズは、完全にとんでも(確信犯かもしれないけど)ですね。
「じつはユダヤのしわざだった」なんて、
言っているだけで、じゅうぶんトンデモないですし。
9.11同時テロも、水素爆弾で破壊した、なんて言っていて、
陰謀論者の中でも、とりわけ行っちゃっているほうだと思いますよ。
http://taraxacum.seesaa.net/article/64559145.html
天木直人氏は、6月の京都の講演のあと、
コシミズとの関係が、どうなったのかは知らないけれど、
きくちゆみ氏は、ご指摘のように終わっていると思います。
(きくち氏は、ナチュラル・ハイジーンなんて信じていて、
環境・健康問題でもトンデモない、というのを聞いたことがある。)
基本的には「知性の劣化」現象なのだと思います。
これは社会全体を覆っているものですから、「護憲派」だとか「改憲派」だとかの区別には関係ないのです。
ああいう人たちは、鏡で自分の顔を見たことがないのでしょうね。戦っているつもりの相手と、顔つきがそっくりになっています。
コメントとTB、どうもありがとうございます。
某所では、議論を吹っかけられて、ご愁傷さま(?)でした。
どんな集団や組織でも、トンデモ思考におちいることは
ありえますから、その意味では、護憲派「も」なんでしょうけどね...
わたしのスタンスは、眼に付いたから批判するであって、
実際、護憲派以外でも、いっぱいトンデモのご指摘はしていますので、
そこはご心配なさらなくても、だいじょうぶです、はい。
あと、もうひとつトラックバック、お送りしますね。