3月4日エントリと、3月16日エントリを書くときに、
わたしが、だいぶ参考にしたのが、『CIA失敗の研究』
(落合浩太郎著、文春新書)という本です。
これをベースに、ウェブで見つけた資料を加えたのでした。
冷戦終了によって、ソビエト共産圏という、大いなる敵をなくした、
アメリカの諜報機関の、約15年間の軌跡が書かれています。
諜報機関の官僚的体質や、組織改革のたびかさなる失敗、
9.11テロを防げなかった理由や、イラク戦争で誤情報に
振り回された過程などが、一通り触れられて、通史のようにもなっています。
新書で入門的なんでしょうけれど、アメリカの現代政治に、
わたしはうとかったので、読むのにいささか苦労してしまいましたよ。
お恥ずかしながら、9.11テロやイラク戦争の原因として、
はじめて納得できる分析を、いまさらのように読んだと思いました。
わたしが思ったのは、情報リテラシーと、組織の体質のことでした。
表紙カバーの裏に「組織とリーダーの在り方の問題をも衝く」
とあるけれど、そういう本としても、読めると思います。
実際、一般市民からかけ離れた世界のお話でもなく、
身近にいくらでもある問題だなと、思ったりもしました。
CIAには、じつはわたしは、すこしばかり興味があって、
古い本だけど、『CIA 変貌する影の帝国』とか、
見てみようかと思いつつ、ついぞ読みそびれていたのでした。
でもこれで、どういう組織なのかも、簡単にわかったように思います。
(ジェームズ・ボンドやトミー&タペンスをイメージしちゃあ
イカンのだろうとは思っていたので、ショックはなかったけれど、
想像以上に、お役所的で保身的なところだと、思いましたよ。
出世のことばっかり考えている、というイメージになっちゃった。)
ついでですが、「北朝鮮の船が、ドイツから化学兵器用の物質を運んだ」
とか、「フランスは、政府も企業もイラクを支援している」
という情報を、聞いたことがあるかたも、多いと思います。
『CIA失敗の研究』の、166-167ページあたりによると、
これらは、にせ情報の可能性が、きわめて高いそうです。
報じたのは、『ワシントン・タイムズ』で、
これが情報源らしいのですが、この新聞社のビル・ガーツという、
ネオコンに協力的な記者が、イラク戦争に反対する、
フランスとドイツに、釘を刺したくて書いたもののようです。
『CIA失敗の研究』はすごい用心深い本で、
不確かなことは断言を避けるので、ここまで書いているのは、
きっと本当にデマなんだろうと思いますよ。
さらに231ページには、こんなことが書いてあります。
(あえてコメントしないけれど。)
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ビル・ガーツがスクープを連発するが、ネオコンの情報操作に
利用されているとも言われる新聞『ワシントン・タイムズ』は統一教会系。
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2008年03月28日
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「落合信彦−奥菜秀次」関係論(1)
Excerpt: この記事は多分シリーズ物となるだろうが,逝きし世さんの主張の吟味を意図したものである.他人様のブログ名を記事のタイトルにするのは失礼かと思い,逝きし世さんの最も力を込めた主張(と私が思っているもの)..
Weblog: アルバイシンの丘
Tracked: 2008-03-29 21:50